新天皇陛下の主要な皇位継承儀式は2019年10月22日にあります。
世界各国195カ国の代表を招き陛下の即位を宣言します。これが即位礼正殿の儀。
11月14日夕方から翌朝未明には天皇陛下が一代で一度だけ臨む大掛かりな
神事があります。この古式を「大嘗祭」といいます。
阿波忌部(あわいんべ)は天皇家とは縁が深く、代替わりの皇室行事
「大嘗祭(だいじょうさい)」で2度目となる「麁服(あらたえ)」
調進に向けて準備を進めています。先日、上記写真のようにあらたえの
織り初め式を行いました。
この「あらたえは」天皇陛下の即位の儀式では欠かすことの出来ないものです。
麁服(あらたえ)とは、阿波忌部直系氏人の御殿人(みあらかんど)が、天皇陛下が即
位後、初めて行う践祚大嘗祭の時にのみ調製し調進(供納)する「大麻の織物」を云い
ます。 麁服は、悠紀殿・主基殿の大嘗宮の儀で、天皇陛下が威霊を体得される為に神座
に 神御衣(かむみそ)として祀るものです。
大嘗祭で供えられる神饌には、ウミガメの甲羅を焼いて占う「亀卜(きぼく)」で選ばれる悠紀(ゆき)・主基(すき)2つの国(地域)で収穫された米と、その米から作られる「黒酒(くろき)」「白酒(しろき)」が知られる。加えて、奈良や京都といった内陸の都では入手しづらかった海産物や、阿波(徳島県)の麻織物「麁服(あらたえ)」と三河(愛知県)の絹織物「繪服(にぎたえ)」などの地方産品もある。これは、列島を挙げて一代一度の神祭りを協賛することを示すものだ。
一般に、毎年11月23日に行われる宮中祭祀の新嘗祭と同じく、収穫感謝の秋祭りと解されて
います。実際、祭儀の次第にも共通点があり、大嘗祭が行われる年には新嘗祭は斎行されません。
これが、麻糸です。これと同じ糸で「あらたえ」を作ります。
『麁服』調進への関心は徳島県人より東京など県外の方の関心が深いようです。
徳島の人は天皇家の祭祀(さいし)においては、この地が
重要な役割を担ってきたという歴史文化に誇りをもって欲しいと
阿波忌部氏直系の三木家に生まれ三木家のみきのぶおさんは言います。
三木家には1260年の亀山天皇の「大嘗祭」で「麁服」の調進をするように
記された古文書が残っています。
三木家直系は「麁服」を作製し宮中に直接届けられる唯一の
「御殿人(みあらかんど)」であるそうです。
忌部神社です。 徳島県は、JR徳島本線を池田方面に進み、山瀬駅下車して
歩いても30分ほどで到着します。
菊の御紋章です。宮中との関係がよくわかります。
あらたえとは麻で織った反物で、御代替わりの時に大嘗祭が行われますが、
前夜に新天皇陛下就寝の際にあらたえを枕元におかれます。
麻を栽培する畑を整地し、春に種をまく。何度も間引きをしながら約100
日で成長した麻を収穫し、茎の天日干しから煮沸、皮を剥ぐなどの工程を
経て麻の繊維を紡いでいき、『麁服』が完成する。
三木家の方の話です。
「麻は法律で栽培が制限されていることもあり、管理も大変だ。私が担当
した前回(の『大嘗祭』)は麻を育てる畑を24時間警備しなければならな
かった。こうした人件費を含めて『麁服』調進にかかる費用は数千万円に
なります。
実際、10月末までは、この忌部神社においても、24時間体制で、警備されています。
夜も警察官が警備します。厳戒態勢になっています。
これは平成2年の大嘗祭時のあらたえを織った時の記念碑です。
さて、この織りあげた反物(あらたえ)はいつ奉納されるのか・・・。
秘密裏に使いが、宮内庁にお届けするそうです。
ロマンのある話です。阿波の国に一度行かれてみてはいかがでしょうか?